随想:天狗論

(英語版はこちら。)

7月に両親が日本に遊びに来たとき3人で京都の鞍馬山に行きました。思ったとおり、両親も駅の隣の天狗像に感動しました。3年前の僕と同じく。

My mother in front of the tengu of Kurama Station

Me with Fumie at the same site, June 2010

最近、天狗について少し勉強して、短いエッセイを書こうと思いました。日本語を勉強するきっかけだったと言っても過言ではない妖怪、幽霊などの昔話について最近あまり読んでいないし、調べると少し懐かしい気分になりました。

最初はもちろん英語版ウィキペディアを見てみました。「Tengu」という記事に立派そうな参考文献のリストがあったので、それらの書籍で調べようと思いましたが、特に僕の目を引いたのはロアルド・ヌットセン(Roald Knutsen)の『Tengu – The Shamanic and Esoteric Origins of Japanese Martial Arts』(天狗:日本武道の神秘的なシャーマニズムの起源)でした。日本の古い伝説についての百科事典的な記事には少し不思議なタイトルだと思いました。それでも、僕の大好きな源義経も鞍馬山の天狗から武術を習ったというので、このような天狗と武術を繋げた伝説などを論じる民俗学の本だろうし、とても興味を持ちました。

牛若丸僧正坊隋武術覚圖 "Ushiwaka-maru (Yoshitsune) learns martial arts under Sojobo"
牛若丸僧正坊隋武術覚圖

(ところで、上の絵の中央部は僕が2006年に読んだミットフォードの名作『昔の日本の物語』の表紙になっていましたが、右の牛若丸がうつっていなかったし、本の内容に彼が出ていなかった記憶があります。)

話は戻りますが、ヌットセン氏の本をGoogleブックスーで調べても少しガッカリしました。無料プレビューもダウンロードできる電子版もなく、読者が書いたレビューももちろんありませんでした。アマゾンもあまりためにならず、レビュー一つもなくて、自分で読んでみるのに7600円 かかるということです。しかし出版社の公式ページには不思議で興味深い要約文は載っていました。その真ん中のところに「the early discovery that the tengu of the Muromachi period were interacting with the deadly serious bugei masters(室町時代の天狗達が武芸の天才達と関わっていたことに気づいた[のが一生続く研究するきっかけだった])[…]Here were beings(この生き物達は[仏法僧が考えたジャータカや俗なおとぎ話に登場する妖怪ではなく恐ろしい]存在だった)[…]As this study shows, the part-hidden tengu under review passed on and taught the clearest theory of tactics and strategy to bushi(この研究論文が論証するように、隠れていた天狗達は武士達にもっとも鮮明な戦術や兵法を伝えたのだ)」とありますが、この本によると天狗が実際に存在して中世日本の武士に武芸を教えたということだそうです。

これを読むと本をもっと読みたくなりました。

著者ヌットセン氏について」というセクションによると、数十年日本の伝統武術を習ったそうですが、「After studying Art and Design he served as a regular in the Intelligence Corps and followed with a successful career in graphic design, choreographing complex medieval combat sequences for a computer film project in England and the USA, and writing(造形芸術の勉強をしてから情報軍団に入って、それからグラフィックデザインのキャリアを始めて、イギリスや米国で複雑な中世戦乱のシナリオをコンピューター・フィルム・プロジェクトで計画したりして、本も書きました)」という学歴を説明する文に日本語、(日本の)歴史、俗学、神話学などの話はありません。

僕も数年間アイルランドで剣道を習いましたが、そこでもう一つ習ったことは、上級の剣道家になっても日本語や日本史を知るわけではないということです。剣道を習うのに日本史の研究は必要ではないし、日本史を正しく理解するのにも剣道の必要はありません。ヌットセン氏の作品はそれぞれ面白いはずですが、どんな参考文献を使ったか気になります。上に引用した要約文のように天狗が実際に存在したと本当に書いているかも少し知りたいです。学術的な書籍の出版社としての300年の歴史を持っているブリル社に信頼性があり、擬似説(fringe theoryは日本語で何っていうの??)なんて出版しないと思うので、好奇心がわいてきています。

誰かこの本を読んだことがあるか、ヌットセン氏のその他の作品についてご紹介いただけないでしょうか?

ところで、もう一つ英語版ウィキペディアで気になった点ですが、よく聞く日本語表現「天狗になる」は、うぬぼれる人が死後(地獄などに行かないで)天狗になるということからできたということです。この情報源は『ゲゲゲの鬼太郎』の作者水木しげるだそうで、水木氏は信頼性が高いでしょうが、僕は今までこの表現と「鼻が高い」という他の慣用句に関係があると思っていました。よく考えれば天狗の鼻は「高い」というより「長い」ですが・・・ 😛

「天狗」についての随想ですが、これぐらいで切っておきたいと思います。またいつかこの話題に戻ってみようと思います。楽しかったから。 😀

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One Response to 随想:天狗論

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